「学ぶ」ことから「考える」ことへの変化
明治維新により、諸外国の仲間入りをした我が国は、諸外国を手本にして成長してきました。
このことは戦後の高度成長の時代にまで続いています。
そこで大事だったのは、過去の成長体験の模倣でした。
そのため、過去の成功を体得している者が、それを知らない者に教えることによって、さらなる高度成長が望めたわけです。
その時には、人々の思いも一つのものでした。
「国が豊かになることで、企業が発展することで、我々の暮らしはより豊かになる。
だから、拡大成長を皆で成し遂げなければいけない」という成長神話の下に、我々は拡大し大きくなっていったのです。
しかしながら、いまや時代が変わりました。
手本となるべき過去の成功体験は、将来のために役に立つかどうか分からない時代になったのです。
世界的規模で考えると、1989年に起こったベルリンの壁の崩壊が象徴していますが、東西冷戦時代が終了し、世界中の人が同じ方法で競争する時代になりました。
それに情報化革命が拍車をかけてスピード化してきました。
いまや、会社の、あるいは自宅のパソコンを起動させるだけで、地球の裏側にいる人の要求までが瞬時に分かるようになったのです。
世界中のあらゆる種類の情報を瞬時に個人が手にするようになったわけです。
個人の豊かさに対する考えも多様化しています。
「さらに拡大して豊かになろう」と思う者もいれば、「もうこれぐらいでいいだろう、これ以上豊かになる必要はない」と考える者もいます。
人々の考え方も必ずしも同じではありません。
その多様化した人々の考えに対して、それを一つのものだけが正しいと無理やり一つにするわけにはいかないのです。
多様化した考え方を持つ人々のそれぞれと対応していく必要があるわけです。
「知識」「情報」「答え」を持つ人が大きく変化
「知識」「情報」「答え」を持っている第一線の人のことを大切にすることが必要になったということです。
「知識」「情報」「答え」を持っている第一線の人が、他人から指導受けるのではなく、自ら考えて行動に移すことができるようにしなければならないわけです。
マネジメントスタイルが変化
従来の強制型コミュニケーションから、共生型コミュニケーションへと変わりました。
それは指示命令を与えるやリ方から、質問するやり方に変わったということです。
「指示命令を与えるやり方」がティーチング、「質問するやり方」がコーチングです。
- ティーチングとは
- ・知っている人が知らない人の手助け(ヘルプ)をします。
- ・知っている人が知らない人に教えます。
- ・知っている上司が知らない部下集団を纏めて説明します(一対多数となります)。
- ・知っている上司が知らない部下を指導します(上下関係)。
- ・知っている上司の私が話します(上司が話したいことを話す)。
- ・上司が主体のコミュニケーションのあり方 部下を管理監督するという感覚です。
- コーチングとは
- ・進みたい個人に対してコーチが手助け(サポート)をします。
- ・相手の気持ちに立って、質問を通じてやりたいことを引き出します。
- ・部下一人ひとりの思いを大事にします(一対一となります)。
- ・行動しようとする部下を上司が支援します(協働関係)。
- ・情報をもっている部下が話しをします(部下に自然に話しさせる)。
- ・部下が主体のコミュニケーションのあり方 上司が部下の気持ちをうまく引き出すという感覚です。
コーチングの三大効果
- 1.相手を育てる
- コーチングとは、相手が望んでいる目標に向かって目標をかなえることができるように、相手が自ら行動することを促すものです。
- 2.相手を支援する
- コーチングとは、相手が望んでいる目標に向かって目標をかなえることができるように、相手が自ら行動するための支援(サポート)です。
- 3.相手を前向きにする
- これまでの強制型コミュニケーション(上司による指示命令に従うもの)に加えて、共生型コミュニケーション(上司からの質問に対し、部下が自ら考えるもの)を取り入れ、相手のやる気を高めることによって、自ら気付き、学び、能力を発揮し、成果を実現する自立型人材を育成します。