傾聴がコーチングの基本
コーチングを行うには、まずクライアントが何を考えており、どうしたいと思っているのかを聞き出すことからはじめます。
クライアントの心の中に隠れているもの、潜在しているものを、顕在化するのがコーチングです。
しかも、それはコーチが教えるのではなく、クライアントが自ら気付くのを援助する行為です。
そのために「傾聴」が重要になるのです。
「傾聴」はコーチのために行うのではなく、クライアントのために行うものです。
それゆえ、コーチの心構えとして「あなたが私に聴いてもらいたいことを全てなんでも聴きます」ということが言われるのです。
傾聴スキル
- 1.うなずき:
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「うなずき」とは、相手のしゃべっている音が聴こえているという信号です。
うなずくことで、相手は聴こえていると安心するのです。
うなずかないと、相手は聴こえているのかどうか不安になり、より大きい声で話すことになります。
相手に無用のプレッシャーを与えないことです。
相手の話す内容によってうなずき方も変わります。
- ・楽しい話、明るい話:「うなずき」は「浅く」 「早く 」なります。
- ・つらい話、苦しい話:「うなずき」は「深く」「遅く」なります。
- 2.あいづち:
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「あいづち」とは、相手のしゃべっている文が伝わっているという信号です。
「あいづち」をうつことで、相手はしゃべっていることが理解されていると安心するのです。
「あいづち」をうたないと、相手は自分のしゃべっていることが理解されているかどうか、変なことを言っているのではないかと不安になり、違う言い回しを探そうとしたりしてパニック状態におちいります。
相手に無用のパニックを与えないことです。
ただし、機械的な相槌はさけましょう。何を話しても「はい」「はい」「はい」の繰り返しでは、相手は馬鹿にされていると感じてしまい逆効果です。
「あいづち」は何種類かもっていて、使い分けることが大切です。 - ・単純なあいづち「はい」「へー」「うん」「ええ」(悲しい話は「う~ん」)
- ・こころのこもったあいづち「なるほど」「本当?」「すごいな」「それいいね」「おもしろい」
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使わないほうがいいあいづち
話しを否定するようなあいづちは避けます。
「嘘でしょ」「そんなのおかしいよ」「変だよ」「なにを考えているの」「ばっかじゃないの」 - 3.アイコンタクト:
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「アイコンタクト」とは、相手のしゃべっている気持ちが伝わっているという信号です。
「アイコンタクト」をすることで、相手はしゃべっている気持ちが伝わっていると安心するのです。
「アイコンタクト」をしないと、相手は自分の気持ちが理解されているかどうか、変にとられていないかと不安になり、違う言い回しを探そうとしたりしてパニック状態におちいります。
相手に無用のパニックを与えないことです。
「目は口ほどにものを言い」です。
やさしいまなざしで相手の話を聴くようにすることにつとめます。
あなたの言っていることはよくわかりますよ、というやさしい母親のようなまなざしが重要です。ただし、やりすぎても逆効果、適度の「アイコンタクト」に心がけましょう。
相手のつらい、苦しい話に対して、機械的なやさしい「アイコンタクト」ではやらないほうがいい。 - 4.確認 その1 繰り返し:
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「繰り返し」とは、相手のしゃべっていることが伝わっているという信号です。
「繰り返し」をすることで、相手はしゃべっていることが伝わっていると安心するのです。
「繰り返し」とは「オウム返し」にすることです。
相手の言っていることを忠実に「オウム返し」にすることで、相手は自分の言っていることを確認します。
「繰り返し」には二種類あります。
- 内容の反射
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「主語+目的語」全てを繰り返すこと。
「主語」だけでも「目的語」だけでもダメです。 - 感情の反射
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形容詞・副詞がキーワードとなります。
言葉を変えてはいけないのです。
「つらい」→「つらいんですね」○、「楽しい」→「面白いんですね」×
コーチは同じ意味だと思っても、相手は違うものと思うこともあります。
(コーチのミスリードとなります) - 5.確認 その2 言い換え(要約):
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「言い換え」とは、相手のしゃべっていることが伝わっているという信号です。
「言い換え」をすることで、相手はしゃべっていることが伝わっていると安心するのです。
「言い換え」とは、相手のしゃべっていることをまとめて要約することです。
要約することで、相手はコーチの理解していることがわかります。
自分の言っていることに対するコーチの理解を確認し、言っていることが正確に伝わっているかどうかが確認でできます。
コーチにとっても、自分の理解が正しいかどうか確認できます。
「あなたの言われていることは、整理してみると○○○○ということですね」
要約すると、「私の言いたいことはそうではない。
△△△ということです」という返事が返ってくることもあります。→それはそれでいいのです。
相手の新しく言っている方向に向いてコーチングすればいいだけのことです。問題になるのは、コーチが先走ってしまうことです。
・仕事のことで悩んでいる部下に対して、「要するに転職したいってことか」と言ってしまう。
→(そうか、仕事で悩んでいる私のようなものは、普通は転職を考えるのか)こうなってしまう。
→転職など考えてもいない部下が転職を考えるようになってしまう(コーチのミスリードとなります)。
・成績のことで悩んでいる受験生に対して、「要するに受験先を変更したいってことか」と言ってしまう。
→(そうか、成績で悩んでいる私のようなものは、普通は受験先の変更を考えるのか)こうなってしまう。
→受験先を変更など考えてもいない受験生が受験先の変更を考えるようになってしまう(コーチのミスリードとなります)。
感情の表現は、「言い換え(要約)」不可能です。
感情の表現は「繰り返し(オウム返し)」を使います - 6.うながし:
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「うながし」とは、相手のしゃべっていることが伝わっているという信号です。
「うながし」をすることで、相手はしゃべっていることが伝わっていると安心し、その先を話そうとします。
「うながし」は「あいづち」と組み合わせて使うことが多い。
→「それいいね(あいづち)」 「それから?(うながし)」
話しが止まったとき、うながしてもらえないと今までの話が、理解してもらっているのか不安になり、この先をしゃべってもいいものかどうか考えてしまうものです。相手には内容について考えてもらいたいのであって、話すかどうかを考えてもらいたいのではないのです。
- 7.沈黙:
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「沈黙」とは、相手が自分の心の深い部分を必死になって探っている行為です。
必死になって探っている人に、話しかけることは手助けでもなんでもなく、邪魔をしていることになります。
相手が考えているのにそれに対して余計なことを言って中断してはいけません。
相手が「沈黙」から戻ってくるのを待っていることが重要になります。
相手の「沈黙」を恐れてはいけません。
沈黙を待てるのが、プロのコーチであると考えることです。