「承認」の方法

「承認」とは、結果だけではなくその過程・成長度合いを認めるのです。
コーチから結果だけではなくそれに至る過程・成長度合いを認められることによって、クライアントは自らの考え・行動に自信をもち、自発的に成長していくのです。

思考・行動と結果の因果関係には、4つのパターンがあります。
「承認」の考え方により、「承認」される状況が異なります。
コーチングでは、結果だけではなく、その過程にも注目して「承認」します。

パターン 結果のみ承認 結果・過程承認
思考・行動が伴って、いい結果が出た。
思考・行動が伴わなかったが、いい結果が出た。
思考・行動が伴ったが、いい結果が出なかった。 ×
思考・行動が伴なわず、いい結果が出なかった。 × ×

「承認」のスキル

「承認」のスキルには、メッセージの主体別に「YOUメッセージ」「Iメッセージ」「WEメッセージ」の3種類があります。

1.YOUメッセージ:
「あなたはすばらしい」、「あなたはよく頑張った」などのようにメッセージの主体が「あなた」となるメッセージのことです。
「あなたは・・・・・です」
2.Iメッセージ:
YOUメッセージの後ろに「私は元気づけられた」、「私は鼻が高い」などがつき、メッセージの主体が「私」となるメッセージのことです。
「あなたは・・・・・です。
わたしは見習いたい」
3.WEメッセージ:
「部長もよろこんでいた」、「わが社としても名誉なことだ」などのようにメッセージの主体が「組織」となるメッセージのことです。

承認される側の心理

1.YOUメッセージ:
YOUメッセージには「あなたは○○○○だ」ということで、そこには評価の気持ちが込められています。
言われたほうは居心地が悪いものとなります。
人によっては、「そんなお世辞には乗らないぞ」、「そんなはずはないんだ」とひねくれてしまうこともあります。
メッセージの受け手がそのメッセージを否定することもあります。
いくらほめ言葉をメッセージにして相手に伝えても、「いえいえ、そんなことはありません」と否定されてしまえば、効果はなくなってしまいます。
2.Iメッセージ:
私がそう感じているんだということであり、このメッセージは受け取った人が否定できないのです。
また受け取った人が充実感を覚え、達成感を感じやすいメッセージになります。

究極のIメッセージ
小泉首相が、貴乃花の怪我をおしての優勝に対し発したメッセージ「痛みに耐えてよく頑張った。
(私は)感動した」

3.WEメッセージ:
WEメッセージはIメッセージ以上に受け取った人が充実感を覚え、達成感を感じやすいメッセージになっています。
それは、組織に認められ、組織貢献ができたことが、ダイレクトに表現されているからです。
4.メッセージの例:
(1)YOUメッセージ
母親「クラスで一番の成績になったね」
子供「うん」
母親「ずいぶん頑張ったもんね」
子供「うん(やっとね)」
(2)Iメッセージ
母親「クラスで一番の成績になったね」
子供「うん」
母親「ずいぶん頑張ったもんね。
お母さんも感心したわ」
子供「うん。
来学期も頑張るよ」
(3)WEメッセージ
母親「クラスで一番の成績になったね」
子供「うん」
母親「ずいぶん頑張ったもんね。
お父さんもよろこんでいたわ」
子供「本当!今度は学年で一番になるように頑張るよ」

「承認」の10ポイント

  1. むやみやたらにほめればいいというものではありません。
  2. 心からほめることです。
  3. 相手の全てを受け止め、承認することです。
  4. Iメッセージにて承認することです。
  5. 以心伝心、そんなことわざわざいわなくてもわかっているだろう→これが一番だめなことです。
  6. 結果ではなくその過程に注目することです。
  7. 本音で自分の言葉でほめることです。
  8. 口で言うのが難しければ、手紙やメールにします。
  9. どんな小さなことでも、承認することです。
  10. 言葉にはならない「承認」もあります→「傾聴」、真摯な応対、やさしい笑顔、時間を作って応対する 等